spacedebris

宇宙開発の課題スペースデブリとは?被害や対策を調べてみた。

一番最近では、日本人宇宙飛行士の油井亀美也さんが宇宙に飛び立ち、国宇宙ステーションに滞在しミッションに取り組むなど、宇宙開発が年々進んでいます。

しかしその一方、宇宙開発によって散乱した宇宙ゴミ、スペースデブリが問題となっています。スペースデブリとは一体何なのか、私たちに影響はあるのかなど、詳しく見ていきたいと思います。

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スペースデブリとは

デブリ(debris)はフランス語で破片という意味です。宇宙に放置されたままの宇宙ゴミとなる人工物体をスペースデブリといいます。スペースデブリには、主に次のようなものがあります。

  • 役目を終えて利用目的がなくなり、大気圏外に捨てられたロケットや人工衛星の一部
  • 役割を遂行する過程で発生する、爆発ボルトや光学機器のレンズキャップなど
  • 人工衛星などが古くなり、はがれてしまった塗料や断熱材の破片
  • 宇宙飛行士が落としてしまった手袋や工具、部品など
  • デブリ同士が衝突して分散した破片
  • ブレークアップによるもの

ブレークアップとは

分散、破壊という意味で、人工衛星が爆発し、破壊されたさいに大量のスペースデブリが発生する現象です。

ブレークアップの原因は以下のようなことがあります。

・意図的な破壊
回収に失敗した衛生や、破壊実験のために意図的に衛生を破壊することがあります。破壊実験は、自分の国の衛星にミサイルを撃ち込むとどのように破壊されるのかを確認するために行われます。
また、軍事衛星がほかの国に落ち、情報が流出してしまう恐れがあるときに自爆させることがあります。
このような意図的なものによる破壊はブレークアップの件数の3分の1を占めています。

・偶発的な破壊
制御ができなくなった機体が市街地などに落ちて被害がでるのを防ぐため、地上からの命令で機体に搭載された爆薬を起爆させ、機体を破壊する装置が備えつけられています。その衛生内の自爆機能が偶然に作動し、人工衛星が破壊されることがあります。

・推進剤の爆発
ロケットが噴出する物質やそれに与えるエネルギーを作る物質を推進剤といいます
ロケット内に残っている推進剤が、タンクのなかの内圧が太陽の熱によって上がり、爆発したり、タンクに亀裂が入り推進剤が漏れ出した状態で他の機体と接触し、大規模な爆発が起きることがあります。

・電気回路のショート
人工衛星に搭載されている充電式電池が、回路のショートにより熱をもち、爆発することがあります。

スペースデブリの現状

さまざまな原因により、スペースデブリは年々増え続け、2010年の時点で10cm以上のものでおよそ20,000個、10㎝未満1㎝以上のものでは、なんと500,000個もの大量のスペースデブリが確認されており、レーダーで捉えることのできない数㎜のものは数十万個から数千万個以上といわれています。

運用中の人工衛星は1,000個、運用終了している人工衛星はおよそ2,600個あり、いずれスペースデブリになる可能性もあります。

このように増え続けるスペースデブリ。その問題点や影響、被害についてみていきます。

スペースデブリの被害

スペースデブリは、低軌道で秒速7㎞、静止軌道でも秒速3㎞と、とても速いスピードで回っています。さらに軌道の傾斜角度によっては秒速10㎞になることもあり、衝突すればその衝撃はすさまじく、数㎜のスペースデブリでも、大砲に打たれたようなダメージが加わります。

実際スペースデブリによる被害もでており、ロシアの静止衛星エクスプレスAM11や、小型衛星BLITSはスペースデブリの衝突により使用不能となっています。このように衛生にスペースデブリが衝突した際、飛び散った破片や、使用不能になった衛生が新たなスペースデブリになるなど、被害は拡大する一方です。

また、2011年の9月には、アメリカの地球観測衛星「UARS」が大気圏に再突入し、部品の一部が燃え尽きずに南太平洋に落下するという事態も起きています。人的被害は今のところでていないものの、他にもスペースデブリが海上に落下したケースがあり、私たち人間に害を及ぼす可能性も、ないとは言い切れない状況です。

そんなスペースデブリを減らす、あるいは衝突を避けるために、どのような対策がとられているのでしょうか。

スペースデブリ被害対策

・ファイバーレーザーによる除去
理化学研究所は、ファイバーレーザーと超広角望遠鏡で、軌道上からスペースデブリを除去するシステムを発表しました。

そのシステムとは、まず、高エネルギー宇宙線を検出するEUSO型超広角望遠鏡を使い、軌道を周回するスペースデブリの位置と速さを検出します。EUSO型超広角望遠鏡は±30度と視野が広く、また、100kmの距離にある0.5㎝の大きさのスペースデブリから反射する太陽光を検出できる高感度の望遠鏡です。

次に、CANと呼ばれるファイバーレーザーシステムによって1㎝ほどのスペースデブリにレーザーをあてます。強い光が当たるとプラズマアブレーションという現象が起き、表面の物質がプラズマ化しふきだすので、その反作用でスペースデブリは速度を落とし、高度を下げ、大気圏に再度突入して燃え尽きてなくなる、という仕組みです。

・スペースガード
スペースガードとは、地球に衝突する可能性のある小惑星などを発見し、監視を行い、地球への衝突を防ぐ活動です。フェーズドアレイレーダーというアンテナ型のレーダーを用いて、スペースデブリの位置を確認することも可能です。

スペースデブリを観察し、その軌道を予測することで、これ以上スペースデブリを増やさない活動にも役立っています。スペースガードは各国で実施されていて、日本では岡山県にスペースガードセンターを設置し、運用しています。

スペースガードセンターで使われている観測装置ではまだまだ検出精度が低いのが現状です。
宇宙開発がますます発展する一方、避けて通ることのできない、スペースデブリ問題。観測装置の精度の高上と、一刻も早い解決が求められているようです。

宇宙開発と聞くとワクワクするような未来をイメージすることが多いですが、こういった事から開発による弊害も感じますね。人類のすごさを感じられる話でした。

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