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労働時間が短い国は何が違うのか。理想的な働き方についてアプローチするためのヒント。

みなさんの労働環境はどうでしょうか?ホワイトだのブラックだのという表現が今日、良くされていますが働き過ぎと感じている人も少なく無いと思います。

OECD(経済協力開発機構)が、その加盟国について労働時間に関する調査を行ったところ、2014年の一人当たりの年間平均労働時間については、ドイツが1371時間と最も短く、ついでオランダが1425時間、その後にノルウェー、デンマーク、フランスが続く結果となりました。
なお、日本の場合は1729時間、もっとも長いのはメキシコの2228時間となっています(以上、2015年9月7日現在公表されている数値)。
この調査によると、労働時間の短い国の上位は、欧州諸国が多く占める形となっています。
また、最も短いとされるドイツと日本を比べると、358時間、日に換算するとおよそ15日もの差があるとされています。

労働時間が短いとされている国は、なぜそのような結果が出ているのでしょうか?

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労働時間が短い国のお話

ドイツの場合

ドイツといえば経済大国、また「勤勉な国民性」をイメージする人も多いのではないでしょうか?そのような印象から、ドイツの労働時間の短さについては、意外に感じる人もいるかもしれません。
しかし実際には、ドイツの労働時間は、先進国の中でももっとも短い水準にあると言われています。

ドイツの労働時間が短い理由としてはまず、政府による規制が厳しいという点が挙げられることが多いようです。
日本でも労働基準法によって、労働時間の上限などが定められています。しかし、ドイツの規制は日本よりも厳しく、労働安全局による立ち入り検査によって、厳しいチェックがされていると言われています。
法律に違反して、労働者に長時間労働をさせていることがわかった場合、経営者には罰金や禁固刑など、決して軽くはないペナルティが課されるようです。
また労働時間だけでなく、労働時間外に、労働者に仕事に関する連絡をすることも、広く問題視されているようです。

またドイツでは、1ヵ月を超えるような長期休暇をとる人が多いと言われています。
法律で、社員に与えなくてはいけない有給休暇の日数が決まっており、消化していないと上司などから「有休をとりなさい」と言われることもあるのだとか。
加えて、互いに休暇をとることを尊重しているため、有給休暇を使うことへのうしろめたさもないと言われています。

ちなみに、ドイツは労働時間が短いだけでなく、労働生産性が高いとされています。
高齢化などで労働力の減少が予想されるドイツでは、仕事の効率化が重視されていると言われています。労働時間の短さは、効率化の成功の証と言えるかもしれません。

オランダの場合

オランダもまた、労働時間が短い国の一つとされています。
残業がない、失業した際に厚い手当が受けられるなど、労働環境が恵まれている国として挙げられることも多いようです。

オランダの場合も、政府がワークライフバランスを奨励していることが、労働時間の短さの原因として挙げられるようです。
週4日労働が定着していると言われることも多く、有給休暇の取得率も高いと言われています。

加えて指摘されることが多いのが、パートタイム労働者の割合が大きいことでしょう。
オランダのパートタイム労働者については、「フルタイムの仕事を見つけられなかったから」という理由でパートタイムをしている人の割合が、日本やアメリカなどの他の先進国に比べて、かなり低いと言われています。
オランダでは、フルタイム労働者とパートタイム労働者について、時間比例で均等に扱うことが定められていると言われています。そのため「仕方なく」ではなく、「ライフワークバランスを実現しやすい働き方」として、パートタイムを選択しやすいようです。

労働時間についての自由度が高いオランダは、一人当たりの労働時間が短く、就業率が高い「参加型社会」だと言われています。
少ない人数で長時間働くのではなく、仕事を多くの人に割り振る「ワークシェアリング」は、一人あたりの労働時間を短くするだけでなく、失業者数を減らす目的も果たしているようです。

キリスト教ならではの考え方も?

労働時間の短い欧州諸国では、「短い時間で仕事を終わらせるのがいいこと」という考え方が広く見られるようです。
このような考え方については、欧州社会の大きな規範となっている、キリスト教の労働観が影響しているのではないかと言われることがあります。

旧約聖書において、禁断の木の実を食べたアダムとイブは、罰として楽園を追放され、男は額に汗して食糧を得、女は苦しんで子供を産まなければならなくなったとされています。つまり働くことは、「人間が悪いことをした罰だ」ということになります。
このような考え方は、時代や宗派などによって大きな違いがあるようですが、「労働=罰」という根底にある意識は、ぬぐい難いものではないかとも言われています。

反対に日本では、「働くことはよいこと」という考えが広くみられるようです。どちらが良い、どちらが悪いと言うことはできませんが、少なくとも両者には、大きな意識の差があるのではないでしょうか。

労働時間の短い国から学ぶべきことも

日本では、「長時間働くこと」自体が、ともすれば美徳と見なされがちです。
しかし、もしも効率の悪い働き方をして、労働時間が延びているのならば、その働き方は見直す必要があるでしょう。
また、長時間労働が続いた結果、心身を壊してしまうこともあります。このような働き方も、決して好ましいとは言えないでしょう。

労働時間が短くなると、仕事の成果も上がらなくなるのではないか、と考える人もいるでしょう。
しかし、一年中働きづめに働くよりも、短時間で業務を終わらせ、十分な休暇をとることが、かえって仕事の効率化につながるという声も多く聞かれます。生活にメリハリができ、心身のリフレッシュができると考えられるためでしょう。

国にはそれぞれの文化があり、他国のやり方をすべて見習うことは難しいでしょう。また、労働時間が短いとされる国にも、まったく問題がないわけではないようです。
しかしながら、労働時間の短い国の政策や企業、労働者の意識などから、日本人が学ぶべきことは少なくなさそうです。

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