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ひとつの通貨で資産を持つリスク

将来のために資産を確保し、また増やしていくということは、とても大切なことです。

ところで、日本に生活の拠点がある人は、日本円での預金や日本の株式など、日本円のみで資産を持っていることが多いのではないでしょうか?

ところが、このようにひとつの通貨のみで資産を持つことには、リスクが伴うと言われています。

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資産をひとつの通貨だけで持っていることのリスク

資産のすべてを、その居住している国の通貨で持っているということは、ごく当たり前のことのように思えるかもしれません。
安易に外貨に手を出すよりは、よほど手堅いと感じる人も多いのではないでしょうか。

ところが、資産をひとつの通貨だけで持っていた場合、もしもその通貨の価値が下がってしまうと、資産全体の価値も下がってしまうことになります。
どんな国家においても、その通貨の価値を大きく目減りさせるような金融危機などの問題が、絶対に起こらないと断言することはできないでしょう。

たとえば、ある人が日本円で1億円の資産を持っていたとします。
為替相場が1ドル=100円であった場合、この1億円の資産をドルに換算すると、100万ドルになります。
ところが円安になり、為替相場が1ドル=125円になったとしたらどうでしょうか?
この場合、1億円の資産をドルに交換すると、80万ドルにしかならないことになってしまいます。
為替相場の変動によって、資産価値がこのように下がってしまうことが考えられます。元々の資産の値が高いほど、この差は大きくなるでしょう。
このような、為替相場の変動による資産価値の変化については、海外に出かけたときに感じたことのある人が多いかもしれません。

今は価値が高いとされている通貨であっても、今後その価値が下がっていく可能性はあります。
たとえば日本円の場合、日本の人口減少や現在の財政の状況などを考えると、これから円の価値が下がっていく可能性は、否定できないと言われています。
仮に、日本円ですべての資産を持っている場合、日本円の価値が下がると、自分の全資産の価値も下がってしまうことになるのです。

輸入大国・日本ならではの問題も

そうは言っても、国内で日本円だけを使って生活していると、為替相場の変化による影響は、あまり感じないという人もいるでしょう。
しかし、円安は円建ての資産の価値を目減りさせるだけではなく、身の回りのものの値上げにもつながっていると言われています。

日本は食料品や燃料など、多くの物資を輸入に頼っており、「輸入大国」と呼ばれることも少なくありません。円安は、これら輸入品の価格が上がってしまうことにもつながります。

たとえば、米国産の小麦1万トンの価格を、200ドルと仮定します。日本円が1ドル=100円のときであれば、この小麦を100×200=2万円で買うことができます。
ところが円安になり、1ドル=120円になったとしたら、どうなるでしょう。
同じ量の小麦を買うためには、120×200=2
4000円を払わなければいけません。円安になったことで、小麦の値段が上がってしまうのです。

小麦の価格が上がれば、その小麦を使った小麦粉やパンなどの値段も高くなり、その分家計の出費が増えることが考えられます。
ひいては、資産の減少をますます促すことにもなり得るでしょう。
円安は資産の価値自体を下げるだけではなく、このような方面からも、生活に影響を及ぼすと言われているのです。

複数の通貨で資産を持ち、リスクを減らす

たとえば外貨預金をするなど、資産をいくつかの通貨で持つことで、為替相場の変動により、資産の価値が下がるリスクを減らすことができると言われています。

たとえば、AとBの二種類の通貨で資産を持っている場合、もしも通貨Aの価値が下がってしまっても、通貨Bの価値が下がっていなければ、通貨Bで保有している分の資産の価値は、保たれるということになります。
このように、いくつかの通貨で資産を持つことによって、自分の全財産の価値が下がってしまうことを、避けることができるでしょう。

また外貨への投資は、リスクを軽減するだけでなく、より資産を増やすための一助になるかもしれません。
たとえば、外貨預金は一般的に、日本円での預金よりも金利が高いと言われています。加えて、為替差益による利益を得ることも可能です。
もちろん、為替差損による元本割れのおそれや、管理が難しくなること、為替手数料がかかることなど、デメリットを無視することはできません。
しかし、外貨を持つことによって、日本円だけを持っていたのでは得ることができなかったはずの利益を、得られるチャンスが巡ってくるかもしれません。

現在は価値が高い、価値が下がるリスクが低いと言われている通貨であっても、将来どうなるのかは誰にもわかりません。
自分の力ではどうにもならない要因によって、ある日突然、手持ちの資産の価値が大きく下がってしまうことも考えられるのです。
資産をひとつの通貨のみで持っているということは、このようなリスクに対し、何の対策もとっていないと言うことができます。
自分が普段使っている、一種類の通貨で全資産を持っているということは、普通のことのように思えるかもしれません。

しかしそれは、「その通貨の価値が今後も下がることはない」という可能性に、全財産を賭けているのだと言うこともできるのです。
外貨建ての資産を持つことは、ひとつの通貨だけに偏って資産を持つことのリスクを回避するための、有効な方法のひとつだと言えるでしょう。

最後に

日本人の多くは、外貨で資産を持つことに消極的だと言われることが多いようです。
確かに、比較的リスクが低いと言われる日本円で、財産を持っているということは、安全なことだと感じられるかもしれません。

しかし以上にご紹介した通り、ひとつの通貨で資産を持っているということにもまた、リスクがあるとされています。このようなリスクがあるということを知っておくことが、いずれ自らの資産を守るための役に立つかもしれません。

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