不特定多数の群集(crowd)が集まり、何かを作り上げることを指すとされる「クラウドソーシング」。昨今では、不特定多数の人に業務を発注する、新しい雇用形態を指す場合もあります。
様々なシーンで活用されているクラウドソーシングは、「ネットを利用した在宅ワーク」と言われることもあるようです。クラウドソーシングに関わらず、「在宅ワーク」というスタイルは、現在多くの人に浸透しつつあると言われています。
在宅ワーク事情
在宅ワークを行っているのは、フリーランスの人に限りません。たとえば会社員であっても、在宅勤務をし、成果を上げている事例は多いようです。
インターネットによって、自宅にいながら外部とのやりとりが簡単にできるようになった近年、在宅勤務をする労働者の数は、世界的に増えていると言われています。
在宅ワークと言えば、デザイナーやプログラマーなど、ごく一部の職種の人をイメージするかもしれません。しかし、製品の設計や受注管理、メールへの対応などを、在宅で行っている人も多いと言われています。在宅ワークを選択できる業務の内容は、多岐に渡っていると言えるでしょう。
アメリカは在宅ワーク先進国?
アメリカでは、在宅ワークをする人の割合が高いと言われています。加えて、在宅ワークというスタイル自体も、かなり前から定着しているようです。
アメリカの在宅ワークをしている人の割合を見ると、その半分以上を男性が占めると言われています。さらにその中には、専門職だけでなく、管理職にある人の割合も高いようです。
多忙な仕事と、ゆとりあるプライベートとを両立させるためには、通勤時間を省くことができる在宅ワークが適したスタイルなのかもしれません。
また、アメリカは国土が広いため、国内でも時差が発生します。時差があるところに住む人同士が一緒に仕事をするためにも、在宅ワークは便利だと言われています。
EUの在宅ワーク事情
EUでは、主に2000年に採択された「リスボン戦略」という経済・社会改革戦略に基づいて、「テレワーク」が推進されたと言われています。ちなみにテレワークとは、ICTを活用した、時間や場所にとらわれない働き方のこととされ、在宅ワークもテレワークにあたるとされています。
ただし、リスボン戦略の中間見直しにより、テレワーク組織員会はその後解消されています。
複数の国家が属するEUでは、テレワークの普及の度合いも、国によって大きく異なるようです。
例えば、スウェーデンやフィンランドなどは、テレワークが比較的定着している国として取り上げられることが多いようです。
一方でドイツやフランスなどでは、テレワークの増加は鈍いと言われています。
通勤時間がかからない、電話や周囲の雑音などを気にせず仕事ができるなど、会社員にとって、在宅ワークの利点は少なくないと言われています。在宅ワークを取り入れ、活用しようという動きは、海外だけでなく、日本国内でも見ることができます。
日本の在宅ワーク事情
日本で会社員が在宅ワークをしているケースには、家庭で育児や介護を引き受けている女性が多いようです。
育児や介護のために、社員が長期休暇をとることに協力的な職場であっても、長期間仕事を離れるメンバーがいるとなれば、代わりの人員の確保が必要になります。休暇をとる本人にとっても、仕事のカンが鈍ってしまうといったデメリットが考えられます。
しかし、在宅ワークをすることができれば、このような問題はある程度解決することができるでしょう。
また、育児や介護のために、能力や経験のある社員が退職せざるを得ないというケースを防ぐことにもなるため、企業にもメリットがあると言えるでしょう。
女性だけでなく、男女問わず在宅ワークを選択できる企業もあるようです。
在宅勤務中の仕事を評価するためのシステムや、セキュリティ対応、通信費を会社が補助する制度を設けるなどの対策をし、在宅ワークというスタイルを活用できるようにしているようです。
在宅ワークを取り入れたことで、生産性が向上した、生活にゆとりが生まれたなど、様々なメリットがあったという感想も寄せられているのだとか。育児などの特別な理由がない場合にも、在宅ワークをする利点はありそうです。
また、正社員だけではなく、派遣社員の在宅ワークを促進する動きも見られます。
限られた時間や日数で働きたいという人のニーズに応えることができ、企業にとっても、人材を確保しやすくなるというメリットがあると考えられているようです。
会社員や、自分の仕事によって生計を立てているフリーランス以外では、「内職」のような感覚で、在宅ワークをしている人も多いでしょう。
高度なスキルや知識がなくてもできるデータ入力や、簡単な文章を書く仕事など、様々な方法で、隙間時間などに収入を得ている人がいると言われています。
子育てや介護のために外出をするのが難しい、しかし収入が少しでも欲しい、という主婦などに、このような仕事をしている人が多いようです。
こういった働き方もまた、在宅ワークの一種だと言えるでしょう。
ちなみに、国内・海外共に、会社員に在宅ワークが定着しているケースでは、毎日家で仕事をするのではなく、週何日かは在宅、あとの日はオフィスに出勤する、といったものが多いようです。
まったくオフィスに顔を出さず、他の社員と顔を合わせる機会がないというのでは、コミュニケーションに支障を感じる人も多いでしょう。
また周囲の人も、その人の分まで電話対応をしなければならないなど、ある程度のフォローをしなければいけません。
毎日在宅で仕事をしている、というケースも、皆無ではないようです。とはいえ、「まったく会社に出勤しない」ということは、実行するのが難しいのかもしれません。
「在宅ワーク」と言われると、一部の限られた職種の人や、フリーランスの人が行うもの、というイメージがあるかもしれません。
しかし、近年では様々な職業・業務において、在宅ワークを活用する取組みがなされているようです。また、それによって成果が上がったという声も聞かれます。
また、災害やインフルエンザなどの流行などのために、会社への通勤が難しくなった場合にも、在宅ワークによってその際の被害を減らすことができると言われています。
在宅ワークという働き方は、今後ますます定着し、より普通のスタイルになっていくかもしれません。